触媒膜反応を利用したフェノール一段階合成
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フェノールは重要な化学工業原料であり、年間数100万トンも製造されています。その90%以上はクメン法という3段階プロセスにて合成されています。これは、アルキル化と過酸化物の合成を経てフェノールとアセトンを得るプロセスです。本プロセスは、多段階反応であり、1サイクルでのフェノール収率が5%という課題があります。
これに対し、パラジウム触媒膜を用いることでベンゼンと酸素からフェノールを1段階にて合成することができます。パラジウム膜の片側にベンゼン、酸素を流通させ、膜の反対側に水素を流通させます。膜を透過した水素は、反対側のパラジウム表面に活性な原子状態にて存在します。この水素原子とベンゼン、酸素が反応することで、フェノールが生成します。
これは、ベンゼン、酸素、水素という最小限の化合物を原料とした1段階プロセスであり、パラジウム膜の特性を利用した非常に効率的なプロセスです。現在、その最適化について検討をすすめています。