CVD法によるパラジウム薄膜の作製

詳しい研究内容は、研究テーマのページをご覧下さい。

水素透過膜は、水素分離プロセス、メンブレンリアクターなどの反応プロセスに利用され、水素エネルギーの利用を支える重要なツールです。当研究室では、主に水素透過膜であるパラジウム膜に関する研究を行っています。

図にパラジウム膜における水素透過の原理を示します。高圧側の水素はパラジウム膜表面に吸着、解離し原子状になりパラジウム金属に溶解し、金属内を拡散していきます。反対の低圧側の表面にて結合し、水素分子になり脱離するという過程にて、水素透過が生じます。そのため、水素以外は通さないことになります。

下の写真が、実際に作成したパラジウム膜です。多孔質のアルミナ支持体上にパラジウム薄膜が形成されています。この膜は薄いほど水素透過量が大きくなるのですが、膜厚が薄いほど穴が無く均一な膜を作るのが困難になり、他のガスも透過していまいます。

当研究室では「薄く、均一な膜」の作製法を検討しています。

CVD(Chemical Vapor Deopsition, 気相化学蒸着法)は、パラジウム薄膜を作成するのに有効な方法です。下の写真が開発したCVD装置になります。装置内を陰圧にし、装置底面に酢酸パラジウムを配置し、これを昇華温度とすることで酢酸パラジウムを昇華させます。装置内にはアルミナの多孔質支持管を設置しておき、これを分解温度に設定することで、昇華したパラジウムが反応に析出します。このとき、アルミナ多孔質を真空引きすることで、製膜途中の膜が不完全である部分から選択的に蒸気を流入・析出させることで、欠陥の少ない膜を作ることができます。本手法により水素>窒素比10000以上の高選択性薄膜の製造に成功しております。

また、この製膜過程について、CFDComputational fluid dynamics)計算を行い、解析を進めています。酢酸パラジウムは、支持管周りにて一様に分布しつつ一部系外に流出しますが、支持体の付け根部では優先的に管内へ流入していることがわかり、本手法により欠損部への優先的析出が生じることを示しています。

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