パラジウム水素センサーの開発
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近年、水素がクリーンなエネルギーとして注目されています。しかし、水素は空気中で容易に爆発限界(4vol%)に到達する物質であり、水素自動車や燃料電池等の水素利用プロセスにおいて、水素漏れは重大事故に直結してしまいます。水素濃度を正確かつ迅速に測定する水素センサーは、来たるべき水素エネルギー社会における安全確保のために必要なツールです。
現在の水素センサー(接触燃焼型等)は、1)水素以外のガスにも応答性を示す、2)酸素共存下でしか応答しない、3)作動温度が高い、4)構造が複雑で小型化・大量生産が難しいなどの問題点を有しており、新たなセンサーの開発が望まれています。
特に、水素のみに選択的に反応し、数百ppm〜数%の広い水素濃度範囲の測定が可能で、数秒程度の高速応答性を有する小型水素センサーを開発が、水素エネルギーの普及に大きく貢献することでしょう。
パラジウムは、水素のみを選択的に吸収・膨張・透過する性質を持つ金属であるため、水素センサー材料として有望です。パラジウム水素センサーの動作原理を図に示します。水素存在下では、基板上のパラジウム微粒子が水素を吸収・膨張して他の粒子と接触することで、通電が促進されます。この際に減少する抵抗値から水素濃度が測定できるという原理です。本センサーは、水素のみに選択性を示し、常温でも作動し、原理が単純で小型化も可能という利点があります。
現在、この原理を用いたパラジウム水素センサーの開発を行っております。