SAMPLE COMPANY

顕微画像のRGBから微小空間に存在する物質のスペクトルを取得する

ナノテクノロジーの発展により、ナノ材料やマイクロチップへの化学プロセスの集積化などナノ・マイクロメートルサイズの微小空間を利用した化学に関する研究が進展しています。一方、このような微小空間における化学的な現象がビーカーのような大きな空間とは異なることも多々報告されています。そのため、微小空間を最大限に利用するためには、その中で起こる化学現象を解明することが必須です。 ナノ・マイクロ空間での化学現象を計測する手法のひとつとして、顕微鏡の下で分光測定を行う顕微分光法があります。従来の顕微分光法では回折格子を用いてスペクトルを取得するため、計測にある程度の時間がかかります。そのため、「瞬間の」スペクトルを取得することができず、流れ場のような刻々と変化する場所でのスペクトルの取得は困難です。 そこで我々は、顕微画像のRGB値を用いて微小空間における吸収スペクトルを一瞬で再現する方法を開発しました。まず、計測したい物質のスペクトルを構成する要素スペクトルを主成分分析により求めました。そして、再現したいスペクトルにおいて要素スペクトルが占める割合を、顕微画像の色情報であるRGB値から算出しました。そして、要素スペクトルをRGBから求めた割合で足し合わせることでスペクトルを再現しました。著者らは、一般的なpH指示薬であるブロモチモールブルー(BTB)およびメチルレッドのスペクトルを再現し、本手法の再現性の高さを実証しました。また、氷に囲まれたマイクロサイズの溶液におけるBTBのスペクトルを再現することで微小空間におけるpHを計測し、顕微吸収分光としての実用性も証明しました。

image3

<< 前のページに戻る