水処理化学研究室



研究概要
磁化活性汚泥法〜磁気分離を活用した 新しい水処理プロセス
日本は水が豊かと思われがちですが、淀川などは半分近くが下水処理水です。大都市では河川水の2〜30%が下水処理水であることもめずらしくありません。 もし下水を浄化せず川に流したら、多くの川はドブ川になり、深刻な水不足となるでしょう。現在、世界では毎日6000人の子供が清潔な水にアクセスできず 病気で死亡していると言われます。また21世紀前半には世界人口の40%が水不足を経験すると言われています。我が国も決して水が豊かではなく、 人口当たりの降雨量は世界平均の1/4しかないのです。これらの水不足を解消する唯一の手段が水の浄化やリサイクルであるといっても過言ではないでしょう。 水の豊かな地に世界文明がはぐくまれたように、どのようにIT社会が進歩して、世界中の情報を瞬時に手に入れられるようになったとしても、 生き物としての人間と豊かな水環境は切っても切れない関係なのです。

我々が研究している水の浄化技術は21世紀も人間が持続的に繁栄してゆくためのキーテクノロジーです。  我々は、磁化活性汚泥法とよばれる磁気分離を活用した水処理方法の研究をしています。世界で他に例のない、いわばオンリーワンの研究です。 この方法の利点は
   1)水の浄化にともなう汚泥ゴミの発生を抑制できる
   2)維持管理が簡単で発展途上国のような国でも活用できる
   3)固液分離トラブルがなく安定した水処理が行なえる  
などです。多くの水処理に関連している企業が注目し、見学に訪れています。 活性汚泥とよばれる水中の有機物を分解して浄化してくれる微生物の固まりに磁性粉(砂鉄の細かいもの)をくっつけ、磁力ですばやく分離している様子が次のURLで見られます。(約3MBクイックタイムムービー)

https://pubsapp.acs.org/cen/news/83/i52/8352wastewater.html

茶色の懸濁物質が活性汚泥とよばれる水をきれいにする微生物です。普通の活性汚泥も磁性粉を混ぜるだけで磁化活性汚泥になり、磁力で分離できるようになります。 沈降分離では上澄みを得るために30分〜3時間かかるのですが、磁気分離では数秒〜数十秒に短縮されます。微生物が沈降したあとの上澄みは有機物の分解されたきれいな水です。 磁気分離では、水と微生物を簡単に分離できるので、たくさんの微生物を利用することができます。それによって汚泥ゴミのでない、 性能の良い水処理プロセスを簡単に組み立てることができるようになりました。ネイチャー誌やアメリカ化学会のホームページをはじめ世界8ヶ国の科学技術や環境に関するWebニュースに掲載されています。 いま、実用化に向けていろいろなところで実証試験をスタートさせているところです。
こちらの情報もご参考にしてください。

https://www.nature.com/news/2003/030324/full/news030324-8.html

さらに詳細を調べたい方は "酒井保藏"   "磁化活性汚泥法"   "yasuzo sakai" で検索してみてください。


問合せ先
 〒321-8585 栃木県宇都宮市陽東7-1-2 
宇都宮大学工学部 物質環境化学コース

   酒井保蔵 准教授 TEL/FAX 028-689-6153  e-mail sakaiy@
   荷方稔之 助教 TEL/FAX 028-689-6169  e-mail nikata@
   六本木美紀 技術専門職員 TEL 028-689-6168  e-mail mikir@

e-mailは@に続けてcc.utsunomiya-u.ac.jp と記載ください

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