ナノ流体に関する研究

近年ナノサイズの粒子を液体に分散させることが可能となり、多くの研究が行われている。
大きな粒子を用いた場合と比較した時の利点としては長期的に安定で沈殿が起こりにくい、デバイス内での目詰まり等が起こりにくい等が挙げられる。
当研究室では大きく分けて2つの用途に使うことを目的に研究を行っている。

@ヒートパイプ等に用いる冷却液

液体中に熱伝導率の高い金属等のナノ粒子を分散させることで、その冷却性能が向上することが期待される。

[マイクロ波 - ポリオール法]
金属ナノ材料の一般的な液相合成方法として、ポリオール法が挙げられる。通常はオイルバスを用いて数時間に渡る加熱を行うが、本研究室ではマイクロ波加熱を行うことにより1/10以下の短時間で高結晶性の金属ナノ粒子を分散させることを可能としている。

用いる表面保護材の平均分子量やマイクロ波加熱を行う際の昇温時間等を変化させることにより図1に示されるように粒子の形状が変化することが分かっている。




図1. 銀ナノ粒子分散液のSEM写真


Aインクジェット塗布による基板配線

[金属ナノ粒子インク]
粒子の分散安定性 粘性抵抗とブラウン運動により粒子の沈降を抑制。
焼結温度の低温化 量子サイズ効果により融点が低下。
         銀ナノ粒子インクは200℃以下で焼結が可能。


[インクジェット塗布]
インクジェット塗布は、現在主流のフォトリソグラフィー方式に比べ短時間で省資源・低コストで基板の配線を可能にすると期待されている。また、エッチングによる廃液を生じないため、環境にも優しい配線技術である。



図2 インクジェット塗布


また本研究テーマではヒートパイプ容器に用いる金属材料及び樹脂の表面改質も行なっている。


容器材料表面を親水性にすることで、上記のような冷却液の速やかな還流と伝熱性能の向上が期待できる。
表面を親水性に改質するために2種類のポリマーを用いて強固な膜を材料表面に作製し、作製した膜の耐久性を向上させる実験を行なっている。
下図のように接触角が小さくなって行くことがわかっており、とても濡れやすい表面になっていることがわかっている。



図3 水の接触角の変化 a)処理前 b)処理後