PM2.5濃度の1年平均値を見てみると非都市部(一般局)では環境基準を達成しているものの都市部(一般局)や自排局では達成できていない。
PMとは粒子状物質(particulate matter) の略で、構造体は10μm以下の細かい粒径のものが多い。大気中に長く浮遊することから、浮遊粒子状物質(SPM)とも呼ばれる。
一般局
一般環境大気測定局のことで、大気の汚染の状況を常時監視するため住宅地などの一般的な生活空間における大気汚染の状況を把握するため設置される測定局
自排局
自動車排出ガス測定局のことで、交差点や道路など、自動車排出ガスによる大気汚染の影響を受けやすい場所の大気状況を常時監視することを目的に設置される測定局
PM2.5(微小粒子状物質)濃度推移
SPMは、ガソリン車からはほとんど排出されないため、ほとんどがディーゼル車由来のものであると考えられる。東京都環境保全局の調査では、都内など大都市圏におけるSPM全体の発生源別寄与率は、自動車排ガスが約48%と最も大きく、なかでも呼吸器官に影響の大きい微小粒子については、自動車排ガスの寄与が約56%と高い。
よって、ディーゼル車排出ガス中のPM除去は課題となっている。
PMには多くの場合、炭素の固体微粒子に有害な物質を含んだSOFが付着していて、人体の気管や肺に沈着しやすく喘息や気管支炎などの呼吸器疾患を引き起こす原因物質と考えられている。
また、SOFは主に多環芳香族炭化水素で構成されていて、発ガン性が指摘されている。
粒径が小さいほど身体の内部までPMが入り込み、影響が及んでしまう。
交通が集中する主要国道の周辺では住民が相次いで道路管理者である国に対して訴訟を起こし、自動車由来の浮遊粒子状物質の排出差し止めを国に命じる判決が出ている。
人の呼吸器と粒子の沈着領域(概念図)
(出典:国立環境研究所資料)
PMの大きさ(人髪や海岸細砂との比較)(概念図) (出典:EPA資料)
・単純な固形の炭素微粒子が房状に連なったもの
・SOF(Soluble Organic Fraction、可溶性有機成分)と呼ばれる高分子炭化水素
・燃料中に含まれる硫黄が酸化して出来るサルフェートの混合物
例えば、ディーゼル排気中のPMの主な成分は以下の3つである。
研究内容
環境基準(平成21年9月9日環境省告示第33号)
項目 |
環境上の条件 |
微小粒子状物質 |
1年平均値が15 µg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35 µg/m3以下であること。
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